将来の収入への不安解消や、不労所得のために”投資”をする方が増加してきています。
「株やFXよりもリスクが少ない」「相場をチェックしたり自分の時間を割くことがない」と、不動産投資を選択する方も多いです。
不動産投資はミドルリスクミドルリターンであり、投資のなかでは安全性が高いことも確か。しかし、絶対に安全と言い切れるものでもありません。
この記事では、不動産投資で失敗しやすい6つの事例と、不動産投資を成功に導くための5つの対策を徹底解説します。失敗事例から不動産投資における注意点を学び、より安心して不動産投資ができるよう、ぜひ最後までお読みください。
不動産投資で失敗しやすい6つの事例
不動産投資は「家賃収入で毎月安定した不労所得を得られる」と、近年注目されてきています。しかし、あくまで「投資」であり、全くリスクがないとも限りません。
不動産投資の失敗事例を知ることは、不動産投資のリスクを把握したり、その対策を考えたりするのに役立ちます。
ここでは、不動産投資で失敗しやすい以下の6つの事例を詳しく見ていきましょう。
- 不動産会社の言うことを鵜呑みにしてしまった
- 空室により収入が安定せず支出の方が多くなってしまった
- リスク管理や予測ができていなかった
- 運用目的に適さない不動産を購入してしまった
- ローンの返済に追われてしまった
- 予想外の出費がかさんでしまった
1、不動産会社の言うことを鵜呑みにしてしまった
不動産会社の言うことを鵜呑みにしてしまった場合、不動産投資は失敗しやすいです。
と言うのも、不動産会社も一事業で不動産の販売をしているため、「売ること」に重きを置いているから。
「この物件は人気エリアにあるから、入居者がすぐ入ります」
「今後開発が進む予定だから、家賃設定が高くできます」
「築年数は経ってるけど、リノベーションすれば問題ありません」
「中古物件だから、新築よりもかなり費用面を抑えて購入できます」
など、不動産を買ってもらうために、メリットしか伝えない不動産会社も少なくありません。
しかし、いくら条件の良い不動産でも、デメリットが1つもない、なんてことはほぼありません。メリットだけでなく、デメリットも知ったうえで、本当に収益が見込める不動産なのか、長期的に見て資産価値のある不動産なのかの見極めは必要でしょう。
そのため、1社だけ、1不動産だけで購入を決めてしまうのは、時期尚早と言えます。
複数社・複数不動産で検討したり、セミナーや書籍・友人や不動産投資経験者からも話を聞き、自分で考えて判断するようにしましょう。
また、不動産会社のなかには、ファイナンシャルプランナーに相談できたり、長期的な収支のシミュレーションを行ってくれたりする会社もあります。無料相談に乗ってくれる会社もあるため、正しい知識・正しい情報をインプットするのに利用するのも、良いかもしれませんね。
2、空室により収入が安定せず支出の方が多くなってしまった
不動産投資で1番懸念すべきなのが、空室リスク。
不動産投資は、投資用不動産の購入時に初期費用が発生しますが、その後は家賃収入として、継続的かつ安定的に収入を得ることができます。
しかし、それはあくまで入居者がいることが大前提。
空室であれば当然収入はゼロであり、それどころか維持費や修繕費などの出費があればマイナス収支になることも。
空室を回避するためには、入居者募集の広告を出したり、より良い居住スペースを提供するためのリノベーションをしたりと、さらなる出費が生じることもあります。
「空室が続いて、思っていたよりも収益化できていない」
「家賃収入がないのに、管理費がかかるから赤字になってしまっている」
このように悩む投資家も少なくありません。
不動産投資に空室リスクは付きものということを理解し、空室を想定した利回りやキャッシュフローを考えておけると良いですね。
また、空室が発生しても家賃が保証される「家賃保証サービス」を活用したり、賃貸需要が見込める不動産を厳選したり、空室リスクを最小にできる対策を考えておくことも重要です。
3、リスク管理や予測ができていなかった
不動産投資は、”投資”である以上、リスクはつきもの。
また、入居者が入ったからといって、完全に安心できるわけでもありません。
と言うのも、空室リスクのほかにも、滞納リスクや家賃の下落、周囲の競合物件の出現など、さまざまなリスク要因があるから。
入居者がいても、家賃の滞納があれば収入を得ることはできません。
滞納があった場合には、支払うように催促をしたり、債務会社へ回収を委託しなければならなかったりと、とたんにキャッシュフローは不安定になってしまいます。
また、新築で購入した不動産は、最初こそ高い賃料で入居者を獲得できるかもしれませんが、時間経過や退去者が増すごとに、賃料を下げる必要もでてきます。周囲に競合物件が増えた際には、入居者獲得競争に勝つべく、入居条件を変えたり、家賃をさげたりしなければならない可能性も。
「オリンピックがあるから需要が高まる」
「商業施設が近くにあるから大丈夫」
「競合物件がないから、一強で常に入居希望がある」
このように、自分の都合の良い解釈だけで不動産を購入してしまい、失敗してしまう方も多いのです。
投資に「必ず」や「絶対」というものはありません。
どういったリスクがあって、将来的にどうなる可能性があるのかを予測し、最悪の状態でも対策できるよう、念入りに下調べすることをおすすめします。
4、運用目的に適さない不動産を購入してしまった
不動産投資では、投資目的に適さない不動産を購入したことで、失敗してしまう方も多いです。
不動産投資における不動産の選定は、いわば株式投資におけるどの株式を運用するのか決めるのと同じこと。運用が成功するか失敗するかは、この選択で決まると言っても過言ではありません。
しかし、その運用目的を忘れ、「安価でお得に買えるから」「一棟投資の方が多くの収入を得られるから」など、うまい話に流されてしまい、選択を誤ってしまう方も多いです。
例えば、老後の収入源を目的として不動産を探していたが、相場よりも遥かに安い値段の一棟物件があったため購入したケース。
一棟物件は入居者が多ければ、それだけ多くの家賃収入を得ることができます。しかし、空室が多ければ、家賃収入がないだけでなく、高い維持費や修繕費も発生します。一棟投資は、ハイリスクハイリターンの不動産投資。
この場合、老後の収入源、つまり、安定した収入が目的であったなら、ミドルリスクミドルリターンの区分投資をしておくべきだったのです。
このように、運用目的に適さない不動産の購入は、不動産投資を失敗に導きます。
自分がどういった目的で不動産投資を行うのか、今一度しっかり考え、芯を持って購入する不動産を選べると良いですね。
5、ローンの返済に追われてしまった
不動産投資で失敗する事例として、ローンの返済に追われてしまうというものもあります。
最近では、初期費用不要で全額ローンで始められる不動産投資も増えてきています。開始ハードルが下がったことにより、副業として不動産投資を選択する方も少なくありません。
しかし、家賃収入を見越した返済プランを組んだり、金利上昇を懸念して無理な早期返済プランを選択したりした場合、ローンの返済に追われてしまうことも。
空室時に返納が滞ってしまった、利益が出ずに給与から返済することになってしまった、このような事態に陥る方も少なくないのです。
ローンを組む前に厳しめのシミュレーションを行って、空室が生じた際にも返済し得るプランなのか、しっかりと確認するようにしましょう。
6、予想外の出費がかさんでしまった
不動産を運用する際には、リノベーション代やクリーニング代など、予想外の出費が必要になることもあります。
投資用不動産を購入しさえすれば、大きな出費はないというわけにはいきません。
入居者のニーズに応えるべく新設備を導入したり、より暮らしやすい間取りにしたり、購入後にリノベーションが必要になることもあります。
また、入居者が退去し、新たな入居者を入れるためには、家の中を綺麗にするためのクリーニングも必要です。
入居者のなかには、喫煙をする方もいれば、ペットを飼う方もいるでしょう。
さらには、故意に壁紙を汚したり、家を傷つけたりする方もいるかもしれません。
入居者がなにかのトラブルに巻き込まれて連絡が取れなくなることや、不幸な出来事が続き事故物件になってしまう可能性もゼロではありません。
これらの修繕にかかる費用は高額になることも多く、さらにはオーナーが負担するケースも珍しくないのです。
予想外の出費が発生することもあるため、日頃から万が一に備えておくことが大切でしょう。
不動産投資を成功させるための5つの対策
不動産投資の失敗事例を見ると、「不動産投資はリスクが高いから怖い」「損しそうだから購入を踏み切れない」など、不動産投資に関して不安を抱いてしまう方もいるかもしれませんね。
確かに不動産投資にリスクは付きものですが、しっかりと対策をすればリスクを最小に抑え、最大の収益を狙うことも可能です。
ここでは、不動産投資を成功させるために、以下の5つの対策を紹介します。
- 信頼できる不動産会社を選ぶ
- 「失敗する不動産」を選ばない
- 明確な目的を持つ
- キャッシュフローを視覚化し計画的に行う
- 適切な管理方法を選ぶ
1、信頼できる不動産会社を選ぶ
まず第一に「信頼できる不動産会社を選ぶ」ことが重要です。
不動産投資は、専門知識と経験がものを言う業界。そのため、不動産投資の素人である投資家が、自力でなんとかしようとしても、なかなか思うように収益化することはできません。
どういった不動産が需要が高く収益化を図りやすいのか、不動産運用のプロである不動産会社の知識や経験は大きな力になります。
ただし、「不動産を売れさえすればいい」と、会社の利益しか考えていない不動産会社があるのも事実です。
投資家のことを第一に考え、投資家が成功するためになにをすべきなのか、しっかり丁寧に相談に乗ってくれる不動産会社を選ぶようにしましょう。
不動産を購入したら終わりではなく、購入後の運用や管理・売却まで長期的にお付き合いできる会社であれば、信用も安心もできますね。
なお、信頼できる不動産会社には、以下のような特徴があります。
- ファイナンシャルプランナーなどの専門スタッフがライフプランの相談に乗ってくれる
- 購入時だけでなく購入後の運用・管理もワンストップでサポートしてくれる
- すぐに購入をするよう契約を急かさない
- 不動産投資のメリットだけでなくデメリットや注意点もしっかり教えてくれる
- 不動産のある地域の特性をしっかり把握している
- 不動産の提案、管理、リノベーションなど、各部門をグループ会社で専門で行っている(グループ内ですべてサポート可能)
不動産会社を選ぶ際には、上記を参考にしてみてください。
2、「失敗する不動産」を選ばない
不動産投資には「失敗する不動産」があるのをご存知でしょうか?
失敗する不動産を選んでしまった場合、収益化を図るのは非常に難しくなります。
不動産投資を成功させるためのカギは、収益を見込める不動産を選ぶこと。
そのためには、最低限選んではいけない「失敗する不動産」は避けるべきです。
失敗する不動産の特徴は、以下のとおり。
- 賃貸需要がない土地(人口減少が予測される土地、周辺物件の空室率が高い土地、駅から遠い、周辺施設がない土地)にある不動産
- 1つの企業や大学だけに依存している不動産
- 違法建築物
- 瑕疵物件(殺人事件、火事、自殺、孤独死などがあった物件)
これらの不動産は、購入価格こそ安くなりやすいですが、将来的に見込まれる収益率も低く、不動産投資を失敗へ導きます。
とくに、法令の基準を満たしていない違法建築物は、銀行融資を受けづらかったり、受けれても高金利になりやすいです。次の買い手も見つかりづらく、出口戦略も成り立たないため、注意が必要。
違法建築物かどうかの判断は「確認済証」で確認できます。
確認済証が発行されていれば、法令基準を満たした不動産と判断できるため、必ず確認するようにしましょう。
また、企業や大学の近くにある不動産は、一見入居率が良く見えるかもしれません。
しかし、1つの企業・大学に依存している場合、その企業や大学が閉業・閉校した際には、一気に入居者がいなくなってしまいます。企業や大学の規模感や経営状況を確認したり、複数の企業・大学が近くにあるか等を確認したりできると良いですね。
3、明確な目的を持つ
不動産投資で成功するための最大のカギとも言えるのが、「不動産運用の目的」を明確にするということ。
と言うのも、不動産投資に求める目的により、選ぶべき不動産も異なるから。
老後の安定した収入を求める場合には、ハイリスクハイリターンの一棟投資ではなく、安定収入を得やすい区分投資の方が適しています。また、節税対策が目的なら、減価償却期間が長い新築不動産の方が良いです。
このように、不動産投資の目的により、最適な不動産は異なるもの。そのため、自分がどういった目的で不動産投資をしたいのか、一度しっかり整理することをおすすめします。
なお、目的別に選択すべき不動産は、以下のとおり。
目的 | 選択すべき不動産 |
安定した収入 |
|
節税 |
|
転売して利益を得る |
|
投資目的がはっきりしていれば、不動産会社からの甘い誘惑にもしっかりと対抗できます。目的に合った不動産を選べるといいですね。
4、キャッシュフローを視覚化し計画的に行う
キャッシュフローを視覚化できれば、具体的な収支の把握も可能になります。
不動産投資は、家賃収入で生じる”収入”のほかにも、固定資産税や修繕費の支払い、ローン返済など”支出”も多いです。収支のトータルがプラスになれば「成功」になりますし、マイナスになれば「失敗」ということに。
空室により収入が得られない可能性があることも踏まえ、どういった支出がいくらあるのかも把握しておけると良いでしょう。
なお、不動産会社によっては、将来的なキャッシュフローをシミュレーションしてくれたり、ライフプランに合わせた不動産の提案をしてくれたりする会社もあります。
無料診断をしている会社も多いため、一度診断してもらうのも良いでしょう。
5、適切な管理方法を選ぶ
適切な管理方法を選ぶことでも、不動産投資は成功しやすくなります。
不動産投資は、投資用物件を購入してからがスタート。
不動産運用をするためには、入居者を募集したり、入居者ニーズに応えるべくリノベーションや修繕をしたりしなければなりません。また、入居者と賃貸契約を結ぶ際には、審査をしたり、家賃回収の手続きをしたりと、行うべき事項もたくさんあります。
すべての手続きや管理を、投資家が1人で行うのはなかなか大変なこと。
とくに、入居者審査は入居者がトラブルを起こさないか、しっかり家賃を支払えるか、安定した運用をするためにもしっかりと行うべきものです。
また、トラブルが発生した際には、その対応に追われることもあるかもしれません。
これらの管理業務は、すべて自分で行ってもいいですし、管理業者へ委託することも可能です。委託すれば、管理業者に運用を任せて、不労所得を得ることもできますね。
しかし、委託には手数料などの委託料もかかるため、利益率はおのずと下がってしまいます。利益率と自分の手間と、全体のバランスを考えて選択するのが良いでしょう。
また、オーナーから賃貸物件を一括で借り上げして管理する「サブリース契約」というものもあります。サブリース契約は、空室保証により一定の賃料収入が見込めたり、賃貸管理を一任できたりと、オーナーにとって多くのメリットがあります。
しかし、勝手に賃料の見直しが行われるため、当初の想定よりも家賃収入が少なくなってしまうというトラブルも少なくありません。さらに、空室保証の手数料が高かったりと、委託することで収入が半減してしまう可能性も。
自分でどこまで管理できるのか、どこからはプロに任せるのか、収支のバランスを考えて管理方法を選択するようにしましょう。不動産会社によっては、管理方法の提案やアドバイスをしてくれる会社もあるため、購入前に管理面のフォローもしてもらえるのか確認しておくのも良いですね。
不動産投資で失敗しないためには事前調査が重要
不動産投資は株やFXよりもリスクが少ないとは言え、リスクがゼロというわけではありません。不動産を購入するにも数千万円という巨額の金銭が発生するため、「失敗したからまた次」という選択をするのも難しいです。
不動産投資で失敗しないためには、周辺不動産の賃料相場や、長期的に見た不動産価値、投資目的にあった不動産かどうかなどを、念入りに調査し詳細なシミュレーションを行う必要があります。リスクを知り、事前準備と対策をしておくことが、不動産投資の成功のカギと言えるでしょう。
とは言え、なかなか普段触れることのない専門的な分野であることも確か。
マンション経営大学では、不動産投資のノウハウや専門知識を広める活動をしています。プロから直接話を聞ける無料セミナーや、個別相談も行っていますので、不動産投資でお悩みのことがあれば、いつでも気軽にご相談ください。