ひと昔前までは「マンション経営」というと、富裕層が行うイメージを持つ方も多かったと思います。しかし、近年では、将来の貯蓄への不安を解消するための方法として、サラリーマンが副業感覚で、不動産投資を行うこともしばしば。
マンション経営は、不動産投資のなかでも比較的安定した収益が望めるため、不動産投資初心者にとってもハードルは高くありません。しかし、マンション経営も投資のひとつ。リスクが全くないというわけではなく、仕組みやリスクをしっかりと把握できていなければ、損をすることもあります。
今回は、マンション経営の仕組みやメリット・リスク、リスクを回避するための方法を徹底解説します。この記事を読めば、マンション経営のリスクを最小限に抑えられるようになりますので、ぜひ最後までお読みください。
マンション経営とは
マンション経営は、マンションを所有し賃貸として運用することで、家賃収入を得るという仕組みで行われます。
不動産投資ローンを利用してマンションを購入した場合には、家賃収入からローンを返済することになります。そして、ローンを完済してしまえば、マンションが資産となり、その後は家賃収入のほとんどが利益に。
家賃収入以外にも、礼金や更新料といった収入も不定期で発生。
家賃収入や礼金・更新料など得られた収入から、修繕費や管理費などを差し引いた金額が、最終的な収益として残る形となります。
マンションを購入してしまえば、毎月家賃としての収入を得られるため、比較的安定した収入が得られやすいと、近年人気を集めています。
しかし、空室が続けばもちろん収入は得られず、管理費用等の出費がかさむだけというリスクも。
「マンション経営をすれば必ず儲かる」と安易に考えず、慎重に始める必要がありますね。
そんなマンション経営には、以下の2通りの運営方法があります。
方法 | 特徴 | |
一棟マンション経営 | マンション一棟まるごと運営する方法 |
|
区分マンション経営 | マンションの一室を運営する方法 |
|
上記を踏まえて、マンション経営のメリットやリスクを見ていきましょう。
マンション経営の5つのメリット
マンション経営には、以下の5つのメリットがあります。
- 安定した収入に期待できる
- 物件を担保に融資を受けられる
- 煩わしい管理の必要がない
- 大きな資産になる
- 節税効果に期待できる
それぞれ詳しく解説します。
1、安定した収入に期待できる
マンション経営では、安定した収入に期待できます。
と言うのも、基本的に入居者がいれば「家賃」として毎月決まった収入を得られるから。
マンションを購入するための初期投資は必要になりますが、マンションの購入さえできてしまえば、安定した収益を得られやすいのもマンション経営の特徴。
マンション経営は、株やFXのように”ハイリスクハイリターン”な投資ではありません。
大きな収入は得られませんが”ミドルリスクミドルリターン”な投資であり、堅実に安定した収入を得たい方向けと言えるでしょう。
また、賃料は立地と築年数などにより、ある程度の相場が決まっています。
競合物件も同等の賃料設定をしているため、価格競争が起きにくく、安定しやすいと言えるでしょう。
2、物件を担保に融資を受けられる
マンション経営は、物件を担保に融資を受けられます。
通常、住宅ローンを組む際には、ローン審査が行われます。
マンション経営においては、購入する物件を担保にした状態で不動産投資ローンを組めるため、通常の住宅ローンよりも審査がゆるく、融資を受けやすいという特徴も。
そのため、マンション経営を始める前に巨額な自己資金がなくとも、問題ありません。
少ない自己投資で大きな資産を生み出せる点も、マンション経営のメリットと言えるでしょう。
3、煩わしい管理の必要がない
マンション経営では、煩わしい管理の手間がありません。
通常、マンション経営を行う際には、以下のような管理業務が発生します。
- 入居者募集
- 入居者審査・契約手続き
- 家賃回収業務
- 家賃滞納者の確認と督促
- トラブル対応
- 退去時立ち会い
- 退去後のクリーニング・原状回復
- 鍵の管理
- 共用部の清掃
- クレーム対応
これらをすべて行うとなると、かなりの手間ですし、多くの時間も必要になりますよね。
しかし、ほとんどの場合、管理業務委託業者に一任できます。
家賃の5%程度の手数料は発生しますが、煩わしい管理業務をすべて任せられるので、不労収入を得られると言っても過言ではありません。
最小限の労力で最大の収益を生み出しやすい点も、マンション経営のメリットと言えるでしょう。
4、大きな資産になる
マンション経営では、不動産自体が大きな資産になる可能性があります。
一棟マンションの場合、建物の老朽化等により、建物自体の価値が下がってしまうリスクもゼロではありません。しかし、物件価値が下がってしまったとしても、土地の価値は残り続けます。
入居者がゼロになって家賃収入が得られなくなった状況でも、土地を売却するという選択肢が残っているのです。また用途変更して、別の建物で再スタートすることも可能。
複数の可能性と選択肢を持って運営できるのも、マンション経営のメリットですね。
また、購入時よりも物件の需要が高まることもあります。
その場合、購入金額よりも高値で売却するなど、キャピタルゲインを得られる可能性も。
マンションの立地に大きく左右されますが、無限の可能性を秘めている点もメリットとなり得るでしょう。
5、節税効果に期待できる
マンション経営は、節税効果に期待できるというメリットも。
マンション経営で節税対象となるのは、以下の3つ。
- 相続税
- 所得税
- 住民税
まず資産を相続する際に発生する「相続税」ですが、不動産の相続税は「不動産評価額」をもとに計算されます。不動産評価額は時価の7〜8割ほどであるため、現金で相続するよりも税金が安くなります。
同じ1億円の相続でも、現金では1億円に対して相続税が発生しますが、不動産では7,000万円〜8,000万円に対して相続税が発生するということに。
また、所得税は、個人が得た収入、つまり給与所得と不動産所得を合算したものに課されます。マンション経営で発生した修繕費や管理費などの支出は、経費として計上できるため、課税対象となる金額を少なくすることが可能。
給与所得が500万円、修繕費などがかさんで不動産所得が100万円の赤字だった場合、400万円が課税対象になります。このように損益通算できるため、節税効果が得られます。
さらに、所得税が減れば、所得別に発生する住民税の節税も可能に。
このように、条件を満たせば、マンション経営による節税も可能であり、メリットと言えるでしょう。
マンション経営の5つのリスク
多くのメリットがあるマンション経営ですが、リスクがゼロというわけではありません。
マンション経営のリスクとして、以下の5つが挙げられます。
- 初期費用とランニングコストがかかる
- 空室や家賃滞納のリスクがある
- 家賃下落リスクがある
- ローンの返済に追われる可能性がある
- 災害リスクがある
それぞれ詳しく解説していきましょう。
1、初期費用とランニングコストがかかる
マンション経営を行う際には、初期費用とランニングコストが発生します。
マンション経営で必要になる初期費用は、以下のとおり。
内容 | 費用 | |
不動産仲介手数料 | 不動産仲介業者を通じて売買契約が成立した際に、成果報酬として発生する。
※仲介業者を介さずに、直接ディベロッパーと契約した場合には、仲介料は発生しません。 |
400万円以上の物件:物件価格の3%+6万円が上限 |
不動産投資ローンの事務手数料 | 不動産投資ローンを組む際に、金融機関に対して発生する。 | 定額制:3万円
定率性:借入金額の1〜3% |
不動産投資ローンの保証料 | ローンの保証協会と契約する際に、保証協会へ保証料を支払わなければならない。 | 一括払い:借入金額の2%
分割払い:借入金額の2%+0.2%〜0.3%の利息 |
印紙代 | 金銭消費貸借契約書(ローン)と、不動産売買契約書には、印紙を貼り付ける必要がある。 | 1,000万円〜5,000万円の取引:2万円
5,000万円〜1億円:6万円 |
登録免許税 | 不動産の購入の際に、所有権や抵当権などの不動産登記の登録が必要。 | 新築物件:4%
中古物件:2% |
固定資産税・都市計画税 | 不動産の所有者に課される税金。 | 固定資産税:固定資産税評価額の1.4%
都市計画税:固定資産税評価額の0.3% |
司法書士報酬 | 登記の手続きを司法書士に依頼した際に、司法書士へ支払う報酬。 | 10万円前後 |
火災保険料 | 火災などの災害に備え、火災保険に加入した場合に発生。(ローンで購入した際は必須) | 10年間で10万円程度
※木造物件は3倍近くになることも |
このように、マンション購入費用以外にも、約80万円〜100万円の初期費用が必要になります。
マンションの購入自体は、ローンを組むことで、ほぼ自己資産は必要ありません。
しかし、上記の費用はローン以外から支払わなければならないため、ある程度の自己資産の用意は必要と言えるでしょう。
また、マンション購入後にも、「ランニングコスト」として、以下の費用も発生します。
内容 | 費用 | |
管理費 | マンションの管理業務(入居者募集や家賃回収、クレーム対応など)を業務委託した際に発生する。 | 家賃収入の5%程度 |
ローンの返済 | 不動産投資ローンを組んだ際に発生する。 | 返済プランに応じた額 |
修繕積立費 | マンションの共用部や全体の修繕に必要な費用として、マンション管理協会に毎月積み立てる必要がある。 | 5,000円〜10,000円程度 |
所得税 | 家賃収入で得た収益に対して、所得税が発生する。 | 家賃収入により変動 |
このように、マンション経営では、毎月発生するコストも。
「自己資産ゼロでもマンション経営ができる」と謳っているケースもありますが、実際にはこれだけの費用がかかるため、安易に始めるべきではありません。
初期費用やランニングコストがかかると理解したうえで、マンション経営を行えると良いですね。
2、空室や家賃滞納のリスクがある
マンション経営に「空室リスク」や「家賃滞納リスク」はつきもの。
マンション経営を行えば、家賃収入として安定した収入を得られます。
しかし、これは所有している部屋に入居者がいて、なおかつ家賃を支払ってもらえることが前提なのです。入居者がいなかったり、家賃滞納をされている場合には、収入がゼロになることも珍しくありません。
また、空室を避けるためには入居者募集が必要であり、家賃滞納に対しては督促手続きをしなければなりません。しかし、これらの対策にも多少なりとも費用や手間が生じます。
「マンション経営を始めれば必ず儲かる」わけではないので、注意しましょう。
3、家賃下落リスクがある
家賃下落リスクがある点も、マンション経営を行ううえでは注意が必要です。
新築マンションを購入した場合、中古マンションよりも高値で貸し出せます。
しかし、それも最初のうちだけ。築年数の経過とともに、建物は老朽化しますし、設備も時代遅れのものになっていきます。また、最初の入居者が退去してしまえば「新築」のバリューも利用できません。
そうすると、入居者を確保するためには家賃を下げざるを得なくなるのです。
購入時に設定した家賃で永続的に運営できるわけではないため、注意が必要でしょう。
また、所有マンションを管理業者に一括で借り上げてもらい、すべての運用を一任できる「サブリース契約」にも要注意。
煩わしい管理や手続きを委託できるため非常に便利に見えますが、契約内容次第では、勝手に賃料の見直しを行われることも。
自分の意思とは関係なく賃料を設定されてしまうため、大幅な賃料の値下げをされるというトラブルが多発しています。
また、「入居率」だけを重要視している管理業者に委託してしまった場合、入居者審査が甘くなる場合もあります。その結果、マンションの治安が悪くなり、入居者を獲得しづらくなるという悪循環が生じるリスクも。
このように、さまざまな要因により、家賃が下落する可能性があることは理解しておけると良いですね。
4、ローンの返済に追われる可能性がある
マンション経営のリスクとして、ローンの返済に追われてしまう可能性も挙げられます。
マンション経営では、不動産投資ローンを利用してマンションを購入する方がほとんど。少ない自己資産で始めることができる反面、毎月の返済も必ず発生します。
ここで注意が必要なのが「家賃収入を見越した返済計画」。
マンション経営はミドルリスクミドルリターンの投資方法ではありますが、空室等により家賃収入が得られない可能性も十分あり得ます。
このリスクを考慮せず「家賃収入を返済に補填できる」「利息を減らしたいから早期返済プランにする」など、無理な返済計画をした場合、返済スケジュールがカツカツになることも。
実際に、家賃収入を得られずに給与からローンを返済しているという方も少なくないのです。
無理な返済計画を組まずに、余裕が出てきたら繰上げ返済をするなど、自分に合った返済計画を立てられると良いでしょう。
5、災害リスクがある
マンション経営では、災害リスクにも注意が必要です。
マンションに限った話ではありませんが、地震や火災などの災害によりマンションが運営できない状況になる可能性もあります。
運営できなければ、当然家賃収入を得ることもできません。
それだけでなく、運営できる状況にするための修繕や建て替えが必要になる場合もあり、急な出費が発生することも。
自然災害なので未然に防ぐことはできませんが、万が一の備えとして地震保険や火災保険には加入しておけると良いですね。
なお、地震保険は火災保険よりも高額になりやすいです。
該当エリアのハザードマップや行政のWebサイトなどで、地震に対する耐性等を調べてみるのも良いでしょう。
マンション経営のリスクを回避する5つの方法
ここまでで、マンション経営のメリットとリスクを解説しました。
リスクを知った今、「リスクが怖いからマンション経営はやめておいた方がいいかな」と思っている方もいるのではないでしょうか?
マンション経営にリスクはつきものですが、リスクを回避する方法があるのも確か。
回避方法を知っていれば、リスクを最小にすることも可能です。
マンション経営のリスクを回避する5つの方法は、以下のとおり。
- リスクの少ないマンションを選ぶ
- 一棟投資ではなく区分投資でリスクを分散する
- 投資目的に合ったマンションを選ぶ
- 返済計画のシミュレーションを行う
- サブリース契約は避ける
それぞれ詳しく解説します。
1、リスクの少ないマンションを選ぶ
まず第一に「リスクの少ないマンション」を選ぶことが大事。
一言で「マンション」と言っても、その内容はさまざまであり、選ぶ物件により見込まれる収益も大きく異なります。
リスクの少ないマンションを選ぶ際に、抑えておきたいポイントは以下の4つ。
- 立地
- 部屋のタイプ
- 利回り
- 築年数
ひとつずつ詳しく解説していきますね。
1、立地
マンション経営をする上で「立地」は、最重要項目と言っても過言ではありません。
以下のポイントを抑えているマンションは、人気が高く入居率も高いです。
- 都心(東京23区内だとなお良い)
- 駅から徒歩10分圏内
- 周辺にスーパーや商業施設がある
- 学校や病院へのアクセスが良い
- 治安が良い
- セキュリティがしっかりしている
- 最新の設備がある
住む人にとって、「生活しやすい環境」「安全な環境」にあるマンションは、需要も高いです。
物件価格が安いからと、地方物件や駅から遠い物件を購入してしまっては、空室続きで家賃収入が得られないことも少なくありません。
また、住みやすい立地でも災害に弱ければ、災害リスクは拭いきれません。
ハザードマップや地震耐久性などを調べてみるのも、良いですね。
2、部屋のタイプ
どの層を入居者のターゲットにするのかにより、選ぶべき部屋のタイプも異なります。
最も利益を出しやすいのは、単身世帯をターゲットとした「ワンルームマンション」。
ワンルームマンションは購入価格も高くない上、空室リスクも最も低いです。特に、都心のワンルームマンションは、独身サラリーマンからの人気も高く、常時入居者がいると言っても過言ではありません。
家賃収入自体はそこまで高額にはなりませんが、最も安定した収入を得られやすい部屋のタイプと言えるでしょう。
一方で、高額収入を狙うならファミリー向けの「3LDK以上のマンション」がおすすめ。
ファミリー向けのマンションは、入居率こそ高くはありませんが、一度入居が決まれば長期間入居してもらえる可能性が高いです。
このように、どういった層をターゲットにするのかを考え、部屋のタイプを決められると良いですね。
3、利回り
マンション経営では、投資額に対してどれだけの収益を得られるのかの「利回り」も非常に重要です。
投資適格性を判断できる「表面利回り」の最低ラインは3%。さらに、安定した収益を求めるなら、5%以上が望ましいとされています。
ただし、これはあくまで表面の利回りであるため、ランニングコストや諸経費も加味した
「実質利回り」も考慮すべき。
以下の計算方法で、表面利回り・実質利回りともに確認するようにしてくださいね。
表面利回り | ランニングコストや諸費用は考慮せず、家賃収入と物件価格だけを用いて計算する利回り。 |
表面利回り = 年間の家賃収入の総額 ÷ 物件価格 | |
実質利回り | 家賃収入と物件価格のほかに、ランニングコストや諸経費を加味して計算する利回り。 |
実質利回り = 年間家賃収入 ー 諸経費 ÷ 物件価格 + 購入時の諸経費
※諸経費:管理費や固定資産税など |
4、築年数
築年数も、マンション経営をする上では非常に重要。
新築マンションは、購入費用は高額になりやすい反面、入居者は決まりやすく収益性は高いです。また、賃料設定も高値をつけやすいというメリットも。
一方の中古マンションは、購入費用は抑えられるものの、新築ほど入居者は決まりやすくはなく、また、賃料も低価格になりやすいです。とは言え、立地や周辺環境がよければ、入居者も決まりやすいため、総合的に判断できると良いですね。
ただし、中古マンションでもリノベーションをしたり、最新設備を整えたり工夫することで、入居者を集めやすくもできます。
立地や物件価格、リノベーション費など、総合的な収支を確認しながら検討するようにしましょう。
2、一棟投資ではなく区分投資でリスクを分散する
一棟投資ではなく区分投資をすることで、リスクの分散が可能になります。
一棟投資は、マンション一棟すべてを運用するため、数部屋の空室があったとしても家賃収入を得られやすいです。また、複数の部屋を運用するので、高額収入も狙えるというメリットも。
しかし、その反面災害時には全部屋の運用ができなくなってしまうリスクや、修繕費が高額になりやすいというリスクがあるのも確かです。
このリスクは、区分投資を複数することで回避できます。
複数のマンションで一部屋ずつ運用することで、災害リスクや環境変化に伴う入居率の低下を防げるでしょう。
3、投資目的にあったマンションを選ぶ
意外と忘れられがちなのが「投資目的に合ったマンションを選ぶ」ということ。
一言でマンション運営と言っても、その内容も目的もさまざま。
将来のために安定した収入を得たいのであれば、堅実性の高い「ワンルームマンション」が適してます。また、一度で大きな収益を狙いたいのであれば「ファミリー向けマンション」や「一棟マンション」の運営が適切。
なんのためにマンション運営をするのか、きちんと目的をはっきりさせておけると良いですね。
目的がはっきりしていれば、「安いから」という安易な理由で地方の需要が少ないマンションを購入して失敗する、なんて心配もないでしょう。
4、返済計画のシミュレーションをする
返済計画のシミュレーションをすれば、返済に追われるリスクを最小にできます。
不動産投資ローンを組む際には、どれくらいの期間で返済するのかも決めなければなりません。
返済期間が長ければ、それだけ支払う利息も多くなります。そのため、家賃収入をアテにして「早期返済」を選択する方が多いのも事実。
しかし、早期返済を選択したものの、思ったように家賃収入を得られずに、給与からローンを返済しなければならない、なんて状況になっている方も。
これは、単に空室が続いていることだけが要因とは限りません。
家賃下落により想定していた収益よりも少なくなってしまった、思っていた以上にランニングコストがかかっている、などさまざまな要因があります。
不動産会社のなかには、長期的な収支のシミュレーションをしてくれるところもあります。さまざまな要因を考慮しながらシミュレーションを行うなど、長期的な返済計画を立てるようにしましょう。
少々大袈裟なくらいの返済計画にしておき、余裕があれば「繰上げ返済」をするのも良い手ですよ。
5、サブリース契約は避ける
サブリース契約を避けることでも、リスクを回避できます。
マンション経営をする際には、煩わしい管理業務を管理業者に委託することがほとんど。
入居者募集だけ、家賃回収業務や滞納者への督促業務だけ、クレーム対応だけなど、どの管理業務を委託するのかは、オーナーが決められます。
そのなかには、保有するマンションを一括で借り上げ、すべての管理を任せられる「サブリース契約」というものも。
空室時の家賃も保証されていたりと、一見非常に便利でメリットのあるサービスに見えるかもしれません。しかし、サブリース契約を結んでしまうと、すべての管理業務が委託先に託されることになります。
オーナーへの相談なしに賃料の引き下げをしたり、必要性の低い修繕をオーナー負担で行われたり、トラブルが続発しているのです。
トラブル回避のためにも、サブリース契約は利用しないようにしましょう。
まとめ
マンション経営は、安定した家賃収入を得られたり、大きな資産を保有できたりと、多くのメリットがあります。しかしその一方で、空室や家賃滞納により収入がなくなるリスクや、ローンの返済に追われるリスクなど、多くのリスクがあるのも確か。
「マンション経営は儲かる」「少ない自己投資で多くの資産を残せる」と、安易に判断せずに、リスク対策をしながら、自分の投資目的に合った物件を購入し、運用するようにしましょう。