【これも経費!?】不動産投資で経費計上できる10個の費用

不動産投資を行う場合には、給与所得のように、不動産所得に対する確定申告を行わなければなりません。確定申告では、家賃(収入)だけでなく、不動産運営をする上で発生した経費(支出)を申告します。

収入から経費分の支出を差し引いた額が「不動産所得」であり、所得税や住民税の課税対象になります。

つまり、経費として処理できるものが多いほど不動産所得は減り、支払う税金も少なくなるということ。経費計上できるものと知らずに計上しなかった場合には、所得が多いと判断され、結果として支払う税金が多くなることに。

不動産投資を行ううえで、経費計上できるものをしっかり把握できていないと、思わぬ大損をする可能性も否定できません。

この記事では、不動産投資で経費計上できるものと、経費計上する際の注意点を徹底解説します。経費計上できるもののなかには「こんなものまで経費なの!?」というものもあるため、一緒に確認していきましょう。

経費とは

そもそも「経費」とは、利益を生み出していくために事業で発生した費用を指します。

10万円の製品を製造して販売する場合で、例えてみましょう。

  • 売上:10万円
  • 材料費:5,000円
  • 製造費:10,000円

この場合、10万円の売上を生み出すために、5,000円の材料費と10,000円の製造費が必要になります。そのため、売上10万円から経費15,000円を差し引いた85,000円が利益ということに。

所得税や住民税などは、売上ではなく「所得額」に応じて発生するため、経費計上して正確な利益を申告できれば、節税することが可能なのです。

不動産投資は、不動産を運営することで家賃という収入を得るため、例外なく確定申告しなければなりません。正しく経費計上できるよう、次項で不動産投資で経費計上できる費用を詳しく見ていきましょう。

不動産所得で経費計上できる10の費用

前項で述べたように、正確な経費計上は節税対策に繋がります。

しかし、ここで注意したいのは「不動産所得という利益を得るために発生した支出」のみが経費になるということ。

使った費用をなんでもかんでも経費として計上できるわけではありません。

ここでは、不動産投資で経費計上できる10の費用について、詳しく見ていきます。

  1. 税金
  2. 火災・地震保険料
  3. 司法書士や税理士への報酬
  4. 減価償却費
  5. 修繕費
  6. 管理会社への業務委託料
  7. ローン金利
  8. 広告宣伝費
  9. 旅費・交際費・交通費
  10. 不動産投資の勉強や情報収集に関する費用

経費計上できない費用を経費として処理した場合、税務署から指摘を受けたり、追加の納税が発生したり、最悪の場合脱税行為とみなされたりすることもあるため、きちんと押さえておけるといいですね。

以下でひとつずつ詳しく解説していきます。

1、税金

不動産投資では、物件の購入や維持において税金が発生しますが、各種税金は経費として計上できます。

不動産投資を行う上で発生する主な税金は、「物件購入時に発生する税金」と「毎年発生する税金」の2種類あり、以下のとおり。

分類 税金の種類 内容
物件購入時に発生する税金 不動産取得税 不動産を取得した初年度に課せられる。

【固定資産税評価額 × 4%】

印紙税 不動産売買時に取り交わす「売買契約書」に貼り付ける印紙代。

売買金額に応じて400円〜60万円の課税。

登録免許税 不動産を取得したことを公示するため、所有権などの権利を登録する際に課せられる。

【固定資産税評価額 × 税率(0.5%〜2%)】

毎年発生する税金 固定資産税 固定資産の所有者に課せられる税金。

【固定資産評価額 × 1.4%】

都市計画税 道路・下水道などの都市計画施設の整備拡充をするために、土地・家屋の所有者に課せられる税金。

【固定資産税評価額 × 0.3%】

個人事業税 個人事業主が都道府県に対して支払う税金。

【所得額×5%】

法人事業税 法人が都道府県に対して支払う税金。

【所得額×3.5〜7.0%】

自動車税や重量税 不動産投資のために利用している場合には、自動車税や重量税が発生する。

 

自動車税や重量税は、不動産運営に使用する自動車を持っている場合のみ、経費として認められます。私用での利用と併用している場合は、私用にあたらない割合のみが対象になるため、気をつけましょう。

2、火災・地震保険料

収益用不動産を不動産投資ローンを組んで購入した場合、金融機関は担保である不動産を守るために、火災保険や地震保険への加入を義務付けるのが一般的。とくに、火災保険への加入は必須となります。

これらの保険料は、不動産を運用する上で必要不可欠な費用であるため、経費計上が可能です。

3、司法書士や税理士への報酬

不動産投資では、専門的な知識が求められる場面が多いです。とくに、初めて不動産投資を行う場合、税金や確定申告についての相談をしたり、アドバイスをもらったりするために、税理士と契約することも少なくありません。

また、収益用不動産を購入する際に必要な「不動産登記」の手続きを、司法書士に依頼することもあるでしょう。

各専門家へ業務を依頼する際に発生する費用も、不動産収入を得るために必要な経費として計上することができます。

4、減価償却費

減価償却費とは、時間的経過による建物の資産価値の低下を考慮して設けられたもので、不動産の取得費用を一定年数に分け、毎年の経費として計上する経費処理の方法となります。

不動産の建物部分は経年劣化していくため、毎年法律で定められた年数で均等に割った金額を経費計上できるということです。

物件の構造ごとの法定耐用年数は、以下のとおり。

  • 木造/合成樹脂造:22年
  • 金属造:34年
  • 鉄筋コンクリート造/鉄骨鉄筋コンクリート造(RC造):47年
  • 木骨モルタル造:20年
  • れんが造/石造/ブロック造:38年

少し分かりにくいため、実例で詳しく説明します。

 

物件 新築ワンルームマンション

(RC造:定額法47年、償却率0.022)

購入価格 2,800万円

(土地建物割合;土地4:建物6)

減価償却費 年間36.96万円ずつ減価償却

この場合の減価償却費は、以下の計算で求められます。

購入費用2,800万円 × 0.6(建物割合)× 償却率0.022 = 36.96万円

つまり、RC造の法定耐用年数である47年間は、実際に出費がなくとも、毎年36.96万円を減価償却費として経費計上できるのです。

なお、平成19年4月1日以降の減価償却費に関する詳細は、「国税庁 No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以降に取得する場合)」を、それぞれの償却率や耐用年数は耐用年数省令別表八耐用年数省令別表九耐用年数省令表十を参照くださいね。

また、平成19年3月31日以前に不動産を取得した場合は、「国税庁 No.2105 旧定額法と旧定率法による減価償却(平成19年3月31日以前に取得した場合)」を参照ください。

5、修繕費

長期間不動産投資を行う場合、経年とともに建物や部屋は老朽化していくため、劣化は避けられません。

劣化を改善したり、原状回復するために発生する修繕費は、不動産収入を得るために必要な費用であるため、経費として計上できます。

修繕費として、経費計上できる費用には、以下のようなものが該当します。

  • 部屋のクリーニング代
  • 壁紙の交換費
  • 給湯器やエアコンの交換費
  • 共用部分の清掃費やメンテナンス費
  • 修繕積立金

ここで注意が必要なのは、あくまで修繕が目的の費用が対象ということ。工事費用が20万円を超えるような大規模な修繕や、機能向上のための設備投資にかかった費用(リフォーム・リノベーション費用)は修繕費に該当しません。これらは「資本的支出」となるため、減価償却の対象になります。

つまり、部屋に元々なかった設備を追加する場合は、減価償却の対象になるということです。

部屋に備え付けの乾燥機を新たに取り付けた場合は「減価償却」、もともと部屋にあった給湯器の修理は「修繕」にあたるというわけです。

機能向上のための費用や大規模修繕は、それぞれの設備や建物の法定耐用年数に従い、減価償却費として計上するようにしましょう。

6、管理会社への業務委託料

不動産投資を行う方の多くは、家賃集金や入居者募集、トラブル対応、清掃などの管理業務を不動産管理会社に委託しています。

管理会社へ委託すれば、煩わしい管理業務を一任できるため、不労所得を得やすくなります。

業務委託料は、家賃の5%程度が相場。業務委託料も、不動産運営をする上で必要な費用であるため、経費計上が可能です。

7、ローン金利

不動産投資では収益用不動産を購入しますが、その際に不動産投資ローンを組む方も少なくありません。不動産投資ローンを利用して収益用不動産を購入した場合、毎月決まった額の返済が発生します。

不動産購入費用は減価償却費として毎年経費計上できますが、ローン返済時に発生する金利も、経費計上することが認められています。

また、ローンを組んだ年に発生した手数料も、必要経費として計上可能。

固定金利は毎月発生する金利が固定なため管理しやすいですが、変動金利では金利が増減するため、毎月こまめに管理しておけるといいですね。

8、広告宣伝費

収益用不動産の入居者を募集する際には、Web広告やチラシを用いたり、不動産仲介会社に入居者募集を依頼したりすることがあります。

その際に発生する広告宣伝費や仲介手数料は、経費として計上できます。

9、旅費・交際費・交通費

不動産投資に関連する目的で使った旅費や交際費、交通費も経費として計上できます。

例えば、顧客と直接話すために訪問した際のホテル代は「旅費」、不動産会社や税理士との打ち合わせの際の飲食代や手土産代は「交際費」、購入する不動産の内見時に発生した公共交通料金やガソリン代等は「交通費」に該当。

ただし、交際費や交通費の額や頻度があまりに多い場合には、税務署のチェックが入ることもあるため、注意しましょう不動産投資関連で使用した費用が経費に該当するため、収益を生み出すために必要な費用と判断できれば、経費計上しても問題ありません。

10、不動産投資の勉強や情報収集に関する費用

その他にも、不動産投資の勉強や情報収集をする際に発生した費用も、経費に該当します。

例えば、不動産関連の税金に関する本を購入した際の書籍代や、不動産を保有する地域の町内会費、不動産の情報を収集するために用いたインターネット使用料など。

このように、不動産収益を得るためにかかった費用は、常識の範囲内であれば、基本的に経費として計上可能です。

不動産投資で経費計上する際の注意点

不動産投資でうまく経費計上できれば、大きな節税効果を生み出せます。ただし、やみくもに経費計上すると、思わぬトラブルに発展しかねません。

不動産投資で経費計上する際には、以下の2点に注意するようにしましょう。

  1. 不動産投資と無関係のものは経費計上できない
  2. 確定申告は正確に行う

ひとつずつ詳しく解説します。

1、不動産投資と無関係のものは経費計上できない

基本中の基本ですが、不動産投資と無関係のものは経費計上できません。

交通費や旅費、交際費を経費計上することは可能ですが、これはあくまで「不動産投資に関連した場合」に限ります。友人との食事会や旅行、私用で使った電車代などは、当然経費として計上できないため、注意しましょう。

経費計上してはいけない費用を計上していて、万が一税務署のチェックが入った場合には、脱税などの不正を疑われたり、追加の税徴収を求められたりすることも。不動産投資に関連している費用を、常識の範囲内で計上するようにしましょう。

2、確定申告は正確に行う

確定申告を正確に行うことは、非常に重要です。

経費として計上できるかどうかも重要ですが、経費計上する費用を適切な勘定科目に振り分けて確定申告することも同じくらい大事です。

と言うのも、税務署は経費の内容だけでなく、どういった内容にどれくらいの経費を使っているのかにも着目しているため。

経費として認められている内容でも勘定科目が間違っていたり、正しく申告されていなかったりする場合には、指摘が入る可能性があります。

初めてで確定申告に不安がある場合には、税のプロである税理士に相談するのもいいかもしれませんね。税理士への報酬も経費計上できるため、節税効果にもつながりますよ。

不動産投資で経費計上できる費用のまとめ

不動産投資で経費計上できるものは、「不動産所得という利益を得るために発生した支出」のみです。不動産投資に関係ない費用を経費計上した場合、不正を疑われ、最悪の場合脱税行為とみなされることも。

どういった費用が経費計上できるのかを知り、正しく処理できれば、節税することも可能です。

とは言え、初めて不動産投資を行う場合や、確定申告に不慣れな場合には、確定申告や節税対策に対して不安がある方も多いと思います。正しい知識がないと、多く税金を支払わなければいけなかったり、法に触れたりしてしまうリスクも。

不動産投資や節税対策などに関する相談にものっているので、気になる方はLINEで相談してくださいね。

 

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